そもそも、ソーシャルレンディングとは何なのか

SBIソーシャルレンディング問題を契機に、昨今、大きな話題を呼んでいるソーシャルレンディング。
ソーシャルレンディング・ラボなどの業界専門メディアの情報も参照しつつ、まずは、その基本構造から確認していきます。

ソーシャルレンディングの基本構造

貸金業者が、融資プロジェクトのための資金をインターネット経由で(=クラウドファンディングで)調達。
その後、融資先から回収に成功した利息を元手に、投資家への利益分配を実施。
最終的には、融資先から元本を回収し、投資家への元本償還を実施します。

投資家は、ソーシャルレンディング事業者のホームページを通じて、ファンドへ出資。
この際、ソーシャルレンディング事業者との間で、匿名組合契約を電磁締結します。

ソーシャルレンディングの利点

まず、借り手となる資金需要者としては、銀行のような一般的金融機関と比較して柔軟な審査で、資金融資を受けることが出来る場合がある、というのが、最大のメリットとなります。
また、借入期間中の元本返済(分割返済)を求められず、借入期間終了時の一括返済が許容されているのも、ソーシャルレンディング事業者からの融資ならではの利点といえます。

投資家においては、まず、ソーシャルレンディング事業者の提示する高い期待利回りが、大きな誘因となっています。
投資初心者でも1万円程度から少額投資できるため、投資のハードルは比較的低いと言えます。

ソーシャルレンディングのリスク

今回、SBIソーシャルレンディング問題を契機にして、ソーシャルレンディングのリスクの一部が、あらためて、鮮明になったといえます。

高い貸付金利で資金を借りざるを得ない借り手企業?

まず、大前提として、ソーシャルレンディング事業者の貸付金利は、銀行などの貸付金利と比べ、格段に高いと言えます。
そして、それだけ高い金利を支払ってでも、融資を受けたい、と考える企業の財務状況は、「推して知るべし」。
どうしても、「安心・安全な借り手」というよりは、「焦げ付く可能性の高い、危ない借り手」への融資案件が増えてしまう傾向があります。

高い貸付金利で資金を借りざるを得ない借り手企業?

昨今ようやく、一部の事業者は、融資先企業に関する情報を公開するようになりましたが、元来、融資先企業の情報は、投資家に対し、匿名化されていました。
当然、投資家によるチェックはきかず、ソーシャルレンディング事業者と投資家との間では、大きな情報ギャップがありました。

「借り手保護」と「投資家保護」の両立の難しさ

ソーシャルレンディング事業者は、「貸金業」と「金融商品取引業」のもとに、ソーシャルレンディング事業を営んでいます。
※監督官庁は、双方、金融庁です。
そして、「貸金業」の分野においては、「借り手保護」の徹底が求められます。
反面「金融商品取引業」分野では、「投資家保護」が絶対条件です。
そして、この両立が決めて難しい、という、構造上の難点があります。